KENJA GLOBAL(賢者グローバル)

メトロ電気工業株式会社
川合 誠治

ローテクの極み

めまぐるしいテクノロジーの進化によって生み出されるハイテクノロジー。それは人々の暮らしに変化を与え豊かさを生み出す。しかしその裏には、長年、私たちの生活を支えてきたローテクと呼ばれる技術も存在する。ハイテクノロジーと比べると構造は簡単なものであるが、シンプルな構造がゆえ無限大の可能性を秘めている。

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PROFILE

賢者プロフィール

氏名 川合 誠治
会社名 メトロ電気工業株式会社
出身地 愛知県
出生年 1948年
こだわり 和して同ぜず。信頼される人間
趣味 ドライブ、ロードバイク、カメラ
休日の過ごし方 道の駅巡りや日帰り温泉を兼ねたドライブ
座右の銘 為せば成る、為さねば成らぬ何事も。
好きな食べ物 和菓子
尊敬できる人 トーマスエジソン

HISTORY

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    男三人、女三人の六人兄弟の三男です。小さな農家だったので決して裕福ではなく服や鞄、学用品までが上からのお下がりでしたが当時は周りも同じような環境だったので特に貧乏と思ったことはありません。小学生時代は家で勉強した記憶はなく、神社、お寺の広場、山、川がみんなの遊び場でした。折りたたみ式のナイフは必需品でいつも持ち歩いて遊び道具を自作しました。小学生時代は軟式テニスの主将をしていたので、中学に入ってもテニス部に入りましたが球拾いしかさせてもらえず退部し技術部に移籍しました。ガソリンエンジンの分解、組立で仕組みなどを学びました。また、自転車で発電した電気を自作したイグニッションコイルで高電圧に変換し小川の魚を気絶させて遊んだこともあります。大学進学の余裕はなかったので工業高校を選びました。幸い好きな電気科に入学でき、趣味で真空管式のステレオアンプの製作やカラー写真の出始めの頃、その現像もしました。

  • 社会人時代

    電球は発明王エジソンの発明品の一つであり、その電球メーカーに興味を持ち入社しました。工場は木造瓦葺き、伊勢湾台風で屋根の一部が吹き飛ばされ、以来台風襲来時はワイヤーロープでしっかり固定し窓に雨戸を立てるほどのオンボロ社屋でしたが、工場内部は整理整頓が行き届いており、大手家電メーカーからの来訪者を感心させました。昭和30年代後半から赤外線やぐらこたつが普及し暖房用赤外線電球の需要増大に伴い急速に業績が改善しました。また、電子レンジや冷蔵庫の普及率が右肩上がりとなり、これらの特殊電球だけでなくソケットなどの設計を始め、電気こたつ用ヒーターユニットの開発へと進化しました。管球技術の基本はエジソン以来ほとんど変わらないローテクですが、入社以来一貫して技術畑に在籍したことにより、管球技術だけでなく金属プレスや樹脂成形などの知識と考え抜く習慣が身に付きました。これが更に新たな「ひらめき」を生む源泉になっていると感じています。

  • 社長就任のきっかけとその当時

    当社は創立以来、中小企業としては珍しく一貫して投資家と経営者が異なっています。したがって今までほとんど内部昇格で社長が誕生しています。1990年頃のバブル崩壊までは比較的順調な経営を続けていましたが、その後のデフレにより家電業界も価格崩壊の波にのまれ、その影響は下請的な部品メーカーにも及び業績は低迷していきました。こうしたトンネルから抜け出すにはある種のショック療法が必要だったのでしょう。当時専務だった私が昇格し2000年に52歳で社長に就任することになりました。会社が潰れるかもしれないと思うほど厳しい状況でした。しかし、冷静に周りを見たとき次の専務が引き継ぐのが自然の流れであり、高校卒業以来34年間勤めてきた会社を見捨てるわけにはいかないという思いがありました。中小企業では借入金に対して社長の個人補償は必須でこの時点で私は会社と運命をともにすることになりました。

  • 現在の事業において

    当社は1913年に白熱電球の製造のため設立されましたが、光源としての使命は発光効率の優れたLED照明に引き継がれました。しかし、白熱電球の発光原理はフィラメントの温度上昇による温度放射であるため、光より熱になるエネルギーの方が圧倒的に大きくなります。この熱を有効利用するためには管球製造技術が必要であり、この技術を利用した商品開発を重視したいのです。ローテクであるが、熱は生活や産業などに必要であり、いくら進化した時代でも不要となることはありません。しかも、IH、マイクロ波など他の方式と比べ管球製造技術は定着しています。したがって、経営資源の乏しい中小企業にとっては適した事業分野と思っています。熱源メーカーの強みを活かしたシンプルな商品開発に徹することが重要です。身の丈にあった商品でよいのです。大量生産、大量販売はリスクが大きくなります。拡大成長よりニッチな分野での継続を重視したいと思います。

  • 今後の目標

    当社のコア技術である高出力、高効率赤外線ランプヒータを利用した商品開発を進め、様々な産業分野のガス燃焼加熱方式を電気加熱方式に転換し、安全、省エネ、CO2削減に貢献したいと思います。

  • 若者へのメッセージ

    デジタル技術を駆使した商品は生活を便利で豊かにしてくれますが、技術革新が早く一刻も気を緩めることができません。大企業でも20年、30年先はどうなるか解りません。しかし、ローテク商品は技術が定着し進化が遅く、しかも、ローテクだからこそ必要性が高く継続してきました。私のような怠け者には最適だと思っています。

COMPANY

会社概要

企業名 メトロ電気工業株式会社
所在地 愛知県安城市横山町寺田11-1
業種 製造
設立 1951年
資本金 6,000万円 (2017年3月 現在)
従業員 83名(2017年3 月現在)
事業内容 家電関連事業、ヒーター管事業、産業用加熱器事業、電球・LED事業
URL http://www.metro-co.com
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