株式会社シクロケムバイオ
寺尾 啓二

研究者の哲学

シクロデキストリン。別名環状オリゴ糖。 耳馴染みの無い名前だが、こちらの物質、私たちの身近な所で活躍している。 そして、この物質に人生をかけた男がいた。 彼の研究者としての哲学とは?

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賢者プロフィール

氏名 寺尾 啓二
会社名 株式会社シクロケムバイオ
出身地 岡山県
出生年 1957年
こだわり 社員みんなが楽しく過ごせる会社を作る
趣味 テニス
特技 耳を動かすこと
休日の過ごし方 テニスとスーパー銭湯
座右の銘 自分を信じること
好きな食べ物 お好み焼きと焼きそば
尊敬できる人 高峰譲吉

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    小学校1年生の時、戦車の砲塔の絵を長方形に書いたところ、友達に砲塔は丸いと言われ、長方形の角に少し丸みを入れたところ、その絵を見た友達は絶賛してくれたという経験があります。この時から他人の意見を取り入れることの大切さを学びました。小学校4年生の時、算数の計算問題20問の試験がありました。20問、解けた順に列に並んで、先生に採点してもらうのですが、何事もスローな私は、ほぼ列の最後でした。それまでも、学校の成績は下から数えた方が早かったです。しかし、前に並んだ友達にすべて正解の人がいなく、人生で初めて1位となった瞬間でした。そこからスローだけど正確、これが私にあったスタイルなのだなと学びました。小学校の成績は中位、中学校の成績は前から3分の一程度、地元の普通科高校にギリギリで入れた程度でした。高校1年時は180人中後ろから20番程度、しかし、2年生になったとたん、突然、成績は前から20位になっていました。この頃、不思議な自分に気付き、最終的に京都大学で工学博士を取得するまでになっていました。

  • 社会人時代

    京都大学で博士取得後、大学で有機合成の研究を続けるか、日本の大手化学企業、ドイツの大手化学企業で研究職に就くかを悩みました。地方の大学にポストがあり、個人的には独自の研究できる大学勤務に興味がありましたが、婚約相手が地方に住むことを好まなかったので、最終的に、ドイツ企業のワッカーケミー社を選択し、ドイツでの生活がスタートしました。そのため、自分のみでの選択とは言い難いです。中央研究所で最初に仲良くなったドイツ人が生化学分野のグループリーダーのゲーハート・シュミット氏でした。シクロデキストリン(CD)製造技術を開発したゲーハート氏は本社勤務となり、やがて、バイオソリューション部門の社長となりました。ゲーハート氏は、私にCDの応用研究とビジネス開発を共同でやろうと、何度も誘ってくれました。しかし私は研究分野が違うために、断り続けましたが、最後には、彼の説得に応じてしまいました。それが、私がCDの応用研究とビジネス開発を今でも続けている理由です。つまり、これも自分のみでの選択とは言い難いですね。

  • 起業のきっかけとその当時

    ドイツワッカーケミー社から日本の子会社へ移籍した後、CDのビジネス開発業務を担当しながら、中央大学で非常勤講師や東京農工大学で客員教授を兼任し、大学の研究室でCDの応用研究を続けていました。2000年頃、その日本の子会社の事業の中心であったシリコーン事業部が旭化成と合弁会社を設立することになった際に、私の部門の所属メンバーの4人は宙に浮いた状態になっていました。その頃、ゲーハート氏は既にワッカー社のCDを取り扱うバイオソリューション部門の社長となっており、私にCDを独占的に取り扱える会社の設立を提案してくれました。工業的に生産できるCDは3種類と知られていますが、当時からワッカー社は世界で唯一3種類のCDを製造できる会社であり、設立する新会社は日本では唯一の3種のCDを扱える会社としての魅力はありました。研究者志向の私にとって、経営者になることはあまり興味を持っていませんでしたが、ゲーハート氏の提案を受け入れることとなりました。つまり、ここでもまた、自分のみでの選択とは言い難いです。

  • 現在の事業

    小学校1年生の時、友達から他人の意見を取り入れることを学び、中学生から大学までは、自分を信じることの大切さを学び、社会人になってからは、婚約者の意見を取り入れて、ドイツ系の会社に入り、ドイツ人の親友の勧めで研究分野を変更し、そして、その親友の提案で、研究者から経営者となりました。会社名にもなっている『シクロケムバイオ』の“シクロケム”の由来はサイクリック・ケミストリー、つまり、環状のケミストリーということです。ケミストリーには化学とともに『人と人の間の良好な相性』という意味があります。私自身、これまで多くの人と出会い、その中で、相性のいい人とともに輪になって(環状になって)楽しい人生を過ごしてきました。事業においても、たとえ大きなビジネスが期待できても、それが“上から目線”企業であればケミストリーはないのでビジネス関係を絶ち、お互いにウイン-ウインの関係を構築できる企業とのビジネスを構築したいと考えています。

  • 今後の目標

    CDはデンプンから作られる天然の環状オリゴ糖です。シクロケムバイオが開発したCD応用技術は様々な分野で利用されています。シクロケムバイオは、その中でも特に機能性食品分野と地球環境分野においての応用研究に注力しています。日本は少子高齢化のため世界で最初に超高齢化社会から超高齢社会に突入しました。この超高齢社会では介護を受けなければならない高齢者が、年々急増しています。そこで、機能性食品分野においては、ヒトの健康増進効果のあるサプリメントや飲料などのCD製品を開発しており、介護を受ける必要のない高齢者を増やすために必要な“ヒトケミカル”という栄養素を世の中に認知させていきたいです。また、地球環境分野においても、発展途上の国々による大気汚染、土壌汚染、水質汚濁の問題が大きく取り上げられていますが、これまでに成しえなかった簡便で効率の良いCDを利用した大気浄化法、土壌改善法、水質改善法がシクロケムバイオによって開発されていることを世の中に認知させていきたいと考えています。

  • 日本を背負う若者へのメッセージ

    大学で化学を専攻し、企業において化学分野での研究に興味のある若者へのメッセージとして聞いてほしいです。若手研究者は安定な大手企業への就職を希望する人がますます増えているように思います。しかし、私の経験からも、大手企業では自分のアイディアを取り入れた研究を行える可能性は低いと思っています。一方、シクロケムバイオのような研究中心の中小企業であり、そして、幅広い応用分野で利用できるCDのような物質を取り扱える研究環境であれば、自分のアイディアを取り入れた研究開発が行えます。生きてきた証を残すためにも、こういった環境で自分の力を試してみてください。シクロケムバイオの研究者は14名で、博士号取得者は8名います。博士号がなくても、自分が取得したいと思えば、シクロケムバイオの場合、社会人博士号取得の協力があります。

会社概要

企業名 株式会社シクロケムバイオ
所在地 兵庫県神戸市中央区港島南町7丁目4番5
業種 その他
設立 2000年
資本金 5,000万円
従業員 20名
事業内容 シクロデキストリンの販売、シクロデキストリン応用製品の開発・販売・受託製造、最新情報の発信。シクロデキストリンを利用した機能性健康食品、サプリメント、化粧品、トイレタリー製品の企画・製造・販売(受託)、マヌカハニーの輸入、及びシクロデキストリン併用による機能性製品の開発・販売。
URL http://www.cyclochem.com/cyclochembio/

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