KENJA GLOBAL(賢者グローバル)

シェル商事株式会社
岡部 美楠子

父の想いを継ぎ人と自然が共存できる未来へ

創業から60年以上、害虫・害獣防除を通じ、地域の環境を守り続けてきた父の思い。その意思を継ぎ、二代目としてKENJAは、駆除対象の命にも寄り添い、人と自然が共存できる都市衛生の未来を創る

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PROFILE

賢者プロフィール

氏名 岡部 美楠子
会社名 シェル商事株式会社
出身地 東京都
出生年 1979年
こだわり 意思をもったデザイン
趣味 カブトムシ、読書、映画
特技 物事をあまり引きずらない
休日の過ごし方 子供たちと過ごす
座右の銘 しなやか
好きな食べ物 ラーメン、春雨、細い麺
尊敬できる人 父や先人。未来の景色を共有し、実現に向かう仲間

HISTORY

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    小~高校まで乗馬キャンプに参加し、馬との非言語コミュニケーションを体感する貴重な時間を過ごしていました。小笠原にも3回ほど渡航し、1000kmの距離を24時間かけて向かう過程で海と空の色がどんどん澄んでいく感覚や、島の生態系のサイクルを体感したことは、人間と生態系との関連性を再考するベースにもなっています。小学校時代、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」との出会い、何故か“蠍の火”という章のさそりと自分を重ねていました。当時は「虫の命の上に自分たちの生活が成り立っている」という一種の後ろめたさのような感情があり、父を尊敬したい感情とのコンフリクトがあったのかもしれません。沸々とした想いを何かの表現にしたいと美術大学へ進学しましたが、作品ではなく言葉で説明をしていることに自分に気づき、母国語が通じない環境に身を置いてみたいとNYに留学し、そこで遭遇した9.11は、自分の死生観に大きく影響しています。

  • 社会人時代

    社会人時代は、2社のオーナー企業で勤務をしました。一般社員からのオーナー家の見え方は、現在大変参考になっています。1社目の靴の製造卸販売の会社では、英語とデザインができる学生という観点で採用され、海外(主にヨーロッパ)メーカー担当となり、現地ではメーカーとの商談、展示会視察、ライン検品などに従事しました。1か月の半分を海外で過ごすことも多く、特に数週間滞在して工場の方々と一緒に作業をする検品作業などは、1日を通したコミュニケーションが必要となり、人柄や慣習など普段の旅行では見えない部分を学ぶことができる貴重な機会となりました。商品企画として、自ら考えたプロモーションで売上足数を大幅に増やす成果を出したことは前例に倣わず成果を出した大きな成功体験となっています。反面、急激な受注数増がもたらす生産ラインや品質コントロールの負荷についての苦い学びにもなっています。

  • 社長就任のきっかけとその当時

    父の会社に参画し、2010年6月に代表取締役社長に就任し、同年のクリスマスイヴに父が他界し、以降様々な出来事がありましたが、企業理念を胸に、何とか事業承継後の最初の波を乗り越えたときに見えてきたのは、当業界が抱えている労働人口減や地球環境などの課題でした。新事業の柱の構築が急務であると感じ、2014年に門を叩いた社会人大学院で恩師との出逢いと対話の時間は、自分の存在次元をしっかりと見定めるために必要な、心の奥にある扉を一緒に開け放つ作業のようでもありました。この大学院で描いた事業構想をコンセプトに、2018年に8thCAL株式会社を設立しました。コロナ前、海外から持ち込まれた吸血性昆虫が日本で感染拡大し、早期発見ツールを開発していました。2023年、再びインバウンド客の増加に伴い被害報告も増えているので、再始動しています。

  • 現在の事業

    2020年に60周年プロジェクトチームを組成し、全社員にアンケートを取り、新たな自分たちの行動指針(クレド)の骨子作成と並行してグループの新たなミッションとビジョンを制定しました。ミッション「人と自然が共存できる都市衛生の未来を創造する」。ビジョン「Respectnature すべてのいのちの存在が尊重される、思いやりの世界へ」。これらを実現するための活動を「事業」「環境」「社員」「社会」の4象限にプロットした1枚の地図のような図案を描き、会社が進んでいく方向性を示すべく、2023年の期初に経営方針説明会を各支店へ回って開催しました。ホールディングスを合わせると3社のグループ会社となっているので、ともすればベクトルがバラバラになりかねません。それぞれの活動が、この4象限のどの活動に該当するのかを示して、一体感を持って同じ方向を向いて進んでいくことができるよう、注力しています。

  • 今後の展望

    「人と自然が共存できる都市衛生の未来を創造する」という自社の利益追求ではない壮大なミッションの実現は、長い長い時間がかかることだと思っています。そのためには、「次世代の公衆衛生の担い手を育成する」ことが肝要で、そのために「啓蒙」→「教育」→「予防」のステップを提唱し、これからはこの「啓蒙」「教育」の活動にもより注力をしていきたいと考えています。虫嫌いの子供が増えていますが、ただ虫を嫌うのではなく、どうすれば棲み分けられる環境を創ることができるのかを考える思考を、子供のうちから醸成することができるようなアート展「害蟲展」の企画運営や、出前昆虫授業、生態系での役割についてのセミナー等を継続的に展開していくことが、実はミッション実現の近道ではないかと信じ、また、この生業だからこそ気づいている地球環境の危機を回避するための活動をしていきたいと思います。

  • 若者へのメッセージ

    父が創業した1960年代は、道路などが未舗装のまま近代的なビルが立ち並んでいく時代で、「駆除」という手段が必要でしたが、現代は建築や都市インフラの構築技術も向上し、比べ物にならないほど“表層上は”清潔になりました。しかし、殺虫剤を流しかけるような現場は、数多く存在しています。そもそも「害虫」と呼ばれている虫も、生態系での役割があることを、私たちは忘れているように感じることがあります。私は、この生業承継して「駆除」という手段だけでなく、必要以上の侵入と繁殖を防ぐ「予防」のための技術を駆使して、地球上で共生していく新たな道筋をつくりたいという本質にたどり着きました。どうか皆さん自身が選択して、日々皆さん自身の命の時間を燃やして行う生業が、善い未来を創るものであるように祈っています。そして、分野は違えども一緒に善い未来を創っていく皆さんと、いつか何かのかたちで共創できるときを楽しみにしています。

COMPANY

会社概要

企業名 シェル商事株式会社
所在地 東京都中央区銀座2-13-2
シェル商事第一ビル
業種 サービス - 専門サービス
サービス - コンサルタント
サービス - その他
設立 1960年
資本金 3,000万円
従業員 211名
事業内容 環境コンサルテーション、環境衛生管理業務:害虫獣防除・水質/菌検査・空気環境測定、他
URL http://www.shell-syoji.co.jp/
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