KENJA GLOBAL(賢者グローバル)

尾張精機株式会社
岡野 圭

言葉の力が生みだす
主体性で未来を照らす

ネジやシンクロナイザーリング等の自動車部品を製造する尾張精機。時代と共にMTが減衰し、業績が厳しくなる中、自動車会社出身の賢者に白羽の矢が立った。短期的利益確保最優先の方針下で、会社に漂っていたのは閉塞感。将来ビジョンの提示と徹底したコミュニケーションによって主体性が生まれ、会社は勢いづいた。

SHARE

PROFILE

賢者プロフィール

氏名 岡野 圭
会社名 尾張精機株式会社
出身地 北海道
出生年 1966年
こだわり 正直であること、誠実であること
趣味 旅行、グルメ、マラソン、ゴルフ
特技 仕事上のどんな場面でも怒らず、大声を出さない
休日の過ごし方 午前中運動で汗を流し、夜に家内と外食に出かけます
座右の銘 虎穴に入らずんば虎子を得ず
好きな食べ物
尊敬できる人 父、トヨタ自動車時代に世話になった上司、先輩

HISTORY

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    北海道夕張市で生まれ、その後父の転勤により、稚内市、滝川市で高校までの18年を過ごしました。かなりの田舎育ちですが、高校教諭だった父が、1970年代にもかかわらずアメリカ人の友人と文通したり、お互い行き来をしたりしており、その影響もあってか幼少のころから海外に興味を持っていました。世界史は得意学科で、共通一次試験でもほぼ満点だった記憶があります。大学生の時にはバックパッカーとして、3年生の時にインド、4年生の時にトルコとエジプトを旅しました。

  • 社会人時代

    漠然と「海外で仕事がしたい」と思っていたのが、トヨタ自動車への入社動機でした。就職活動はバブル絶頂期、金融全盛の時代でしたが、大量採用の金融業界で海外で働けるイメージが湧かなかったため、メーカーを選びました。トヨタ入社後、海外営業部門への配属を希望しましたが、希望は叶わず人事部門へ配属されました。若手の頃はより重要な仕事を任されたい一心で、ひたすらがむしゃらに働いていましたが、配属から11年目に「人事機能でタイトヨタに行ってくれ」と上司から言われた時に「10年ぶりに配属希望がかなった!」と心が躍ったことを今でも覚えています。また、タイでの駐在生活も苦労は多かったですが、公私両面で大変充実した4年間を過ごし、とてもいい経験をさせていただきました。その後、調達部門へ異動し、退社して尾張精機に移るまで14年間、途中4年間のヨーロッパ駐在経験も含めて、ここでも大変良い経験をさせていただきました。

  • 社長就任のきっかけとその当時

    私の入社当時、尾張精機の株主は、投資ファンドであるライジングジャパンエクイティでした。トヨタ自動車の調達部室長時代、ある仕入先の事業承継問題に取り組んでいた時にこの投資ファンドの社長と知り合いました。2013年のことです。この投資ファンドがこの仕入先をオーナーから買い取ったことで、事業承継問題にひとつの区切りがつくわけですが、そこに至る過程の展開がとてもドラマチックでして、当案件に深く関わっていた私のことを「面白い」と思っていただいたのではないかと推測しています。その後、年に3〜4度、食事を一緒にする間柄となり、ビジネスに対する考え方にも共感でき、相互の信頼の絆を深めていきました。2019年頃、この投資ファンドの社長から「次に手掛ける企業買収案件が成功した暁には、社長をやってもらえないか」という打診を受け、2021年に満55歳でトヨタ自動車を退職し、尾張精機に入社をいたしました。

  • 現在の事業

    私が尾張精機に入社した頃は、会社の将来像が見えない、会社には期待しない、という社員の諦め感が蔓延していました。こうした諦め感があると、会社施策としては何をやっても響かない、まずは、この諦め感を払拭するために、「会社の期待に社員がしっかりと応える、応えることで会社の業績が伸び、社員の生活水準が向上する」という好循環を回していかなければなりません。そのための施策は、決め手があるわけではありませんが、一言で言えば「コミュニケーションの強化」でしょうか。手を変え、品をかえ、考えうるあらゆる手段を使って、会社のメッセージを一人ひとりの従業員に届ける努力を続けています。諦め感の完全払拭にはまだまだ至っておりませんが、会社の雰囲気もずいぶんと明るくなっているのではないか、そう感じてくれている社員も増えたのではないだろうかと感じております。

  • 今後の展望

    現在、自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えています。自動車の部品、構造、素材なども大きな変化が起きており、当社の製品に対する要求もその変化に呼応して様々なニーズが寄せられています。尾張精機は今年で創業118年目、過去には置き時計から航空機、そして自動車部品と、社会のニーズの変化に対応して、しなやかに生業を変革してきた歴史があります。私は、この会社を、この先どのような経営環境変化があろうとも、自らを自らの力で変革しうる、150年、200年と繁栄し続ける会社としての基礎・土台をしっかりと作り直したい、そういう思いで、これからもこの会社の経営を続けていくつもりです。

  • 若者へのメッセージ

    今、社長という立場で会社経営をしていますが、過去に経験した仕事の中で「この仕事は自分のキャリア形成に役立たなかった」という仕事はほとんどないと思っています。全ての経験が今の私を形成している。中には、自分が望まない異動や業務変更もありましたが、望んでいない仕事にこそ、その中に発見があったりするので、とにかくいろんなことに首を突っ込んでみること、そこで見て触れたものを深く掘り下げてみること、特に若い時には貪欲にいろいろな経験をすることをお勧めします。また、若い頃に漠然と思っていた「世界を股にかけて活躍するビジネスマン」、振り返ると自分が理想としていた働き方ができた、異なる文化を許容し、徹底的なコミュニケーションで分かり合い、深い信頼の絆をたくさんの国の人たちと作り、いい仕事ができたと思います。世界中にたくさんの戦友がいます。自分の人生の中で、かけがえのない経験をさせていただけたと思っています。

COMPANY

会社概要

企業名 尾張精機株式会社
所在地 愛知県尾張旭市下井町はねうち2345-1
業種 その他
設立 1906年
資本金 9,000万円
従業員 370名
事業内容 自動車部品製造業(車両の電動化ユニットおよび内外装に使用されるネジ、マニュアルトランスミッションの構成部品シンクロナイザーリングの製造)
URL https://www.owariseiki.co.jp/
{

RELATED MOVIES

関連動画