KENJA GLOBAL(賢者グローバル)

會澤高圧コンクリート株式会社
會澤 祥弘

正しい承継は
パワーゲーム

創業85年を迎えるコンクリート会社の三代目を約束されていた賢者は、敷かれたレールへの反発からいったんはマスコミの世界に飛び込んだ。 異業種で得た経験をテコに先代の父を乗り越えようと事業変革に挑んだ日々。そして今、バトンを渡す側になって、思う。

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PROFILE

賢者プロフィール

氏名 會澤 祥弘
会社名 會澤高圧コンクリート株式会社
出身地 北海道
出生年 1965年
こだわり 日本人としての視座
趣味
特技 対話
休日の過ごし方 湯呑み
座右の銘 縁を前に転がせ
好きな食べ物 フレンチ
尊敬できる人 徳川家康

HISTORY

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    日中は仲間を連れて野山を駆け回る典型的ないなかのガキ大将でした。夜には家業のコンクリート製品工場にこっそり忍び込んで悪戯ざんまいをしている子供でした。遊び場には事欠かず、もう毎日が冒険でした。母はそんな私の躾を憂えてか、居合と書の達人である辰巳先生に、私の個人指導を委ねました。黒の袴の二人っきりの張り詰めた道場。師のおかげで、刀とともに居住まいを正すことだけは、からだに叩き込まれました。当時、全体の5%しか認められなかった学区外からの越境で、憧れの札幌西高等学校に入学します。多感な時期に親元を離れての下宿生活は、私の日常をさらなる“冒険”へと掻き立てました。修学旅行の朝には、ひとりでまったく別ルートの旅に出る始末です。今でも超絶自由だった西高の校風と仲間たちにキュンとします。教科書は放り投げて、歯が立ちそうもない難解な哲学の書と格闘する毎日でした。

  • 社会人時代

    日本経済新聞の記者として流通経済部からスタートします。セゾングループやダイエーなどの大手流通グループや家電メーカーなどを担当、当時破竹の勢いだった堤清二や中内功など稀代の大経営者を夜回りで追い続け特ダネを乱発、ずいぶんと賞をもらいました。おかげで同期(63年入社)の中で最初に海外赴任を遂げ、ニューヨークでは国連を担当します。国連創立50周年にほぼ全世界の首脳が集まる中、あのキューバのカストロがなんとピンストライプの高級スーツに身を包んで登壇し、マイクを約2時間ジャックしてすべての話題をさらってしまったことを昨日のことのように思い出します。

  • 就任のきっかけとその当時

    ニューヨーク特派員時代(94~98年)に米国の“インターネット爆発”、つまりネットスケープの出現やジェフ・ベソスのアマゾン創業などを目の当たりにし、「オレも事業家になりたい」という衝動を抑えきれなくなりました。会社に内緒で、デラウェア州にECサイトの運営会社BTBex Inc.を設立し独立の準備を始めていましたが、そうこうするうちに帰国命令が下り、退社を決断しました。米国に残る選択肢もあり得ましたが、故郷の北海道に戻り、祖父が創業した家業を踏み台(いや跳躍台)にして会社の“改造”をやり遂げ、もう一度アメリカに戻ってやる!という思いでした。だが、帰国した私を待っていたのは、市況の長期低迷にあえぐ札幌の生コン業界の、目を覆うような惨状でした。当社を含む“群雄”が割拠する戦国的な状態を一日も早く終わらせなくてはならない。その「解」は当社が市場において圧倒的なパワーを持ち、そのパワーを新しい太平の秩序の構築に使うことでした。敢えて激烈な低価格戦を仕掛けながら、競合社を次々に傘下に収め、同時にネットワーク型無人生コンプラント「ウップス」を一気に10基展開してダメを押しました。血は大量に流れました。家康公ではないが「厭離穢土 欣求浄土」の想いそのままでした。この時の修羅場を経て、当社は札幌のチャンピオンの座を獲得し、業界はその後の長期にわたる安定を取り戻しました。ウップスは01年2月、日経コンピュータ情報システム大賞「グランプリ」を受賞しました。

  • 現在の事業

    セメント由来のCO2は全排出量のおよそ8%を占めます。コンクリートの脱炭素化は最優先の課題であり、当社はその課題解決に向けてMITなど世界の主要大学やテクノロジー企業と多角的に連携し、業界におけるリーダーシップを発揮しようと思っています。バイオの力で自己治癒する“壊れないコンクリート”技術を普及させ、将来のセメント使用量を戦略的に削減して行くことが当社の事業活動の一丁目一番地になるはずです。セメント生産過程で排出されたCO2をコンクリートに再固定化する技術も様々組み合わせてコンクリートのカーボンニュートラルを実現していきます。

  • 今後の展望

    コンクリートとテクノロジーの掛け算によるイノベーションマーケティング集団へと、さらなる進化を遂げるでしょう。2009年3月に設立したアイザワ技術研究所(札幌市)が頭脳の役割を果たし、これまでも様々なオープンイノベーションを仕掛けてきましたが、2023年3月には福島県浪江町に研究開発型戦略製造拠点「福島RDMセンター」を開業させます。RDMには、バイオ、AI、3Dプリンティング、PC、廃プラ再利用、プラントエンジニアリング、複合現実(MR)、衛星画像、大型エンジンドローン、デジタルツイン、防災テック、陸上養殖、昆虫テック等々、当社のテクノロジーがすべて集積され、“テックの発酵”を一段と加速させて行きます。2035年の創業100周年の姿を、もはや想像はできません。

  • 若者へのメッセージ

    目の前の仕事に忠実であれ。これが基本です。確かに仕事は選べます。しかし、仕事はひとりでするものではないので、上司や部下や仲間やパートナーが少なからず存在するようになります。目の前の仕事が面白いかというとかなりの確率でそうではありません。若者とは、自らの存在価値を過大評価する生き物なので、多くの若者は目の前の仕事をオレにはふさわしくないと過小評価してしまいます。しかし、ご縁があって目の前に現れたしょーもない仕事にどう向き合うかで、君の人生のすべては決まっていきます。目の前に訪れた仕事を真正面から受け止め、それを全身全霊で前に転がせる人間だけが次のご縁をいただけます。人生とはご縁の連鎖なのです。いただいたご縁を、ご託を並べてスルーパスする奴にだけはならないでほしいです。

COMPANY

会社概要

企業名 會澤高圧コンクリート株式会社
所在地 北海道苫小牧市若草町3-1-4
業種 建設
設立 1963年
資本金 63,900,000円
従業員 700名
事業内容 プレキャスト/プレストレストコンクリート事業
レディミクストコンクリート事業
自己治癒マテリアル/環境マテリアル事業
AI/航空ロボティクス事業など
URL https://www.aizawa-group.co.jp/
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