株式会社島津製作所
上田 輝久

やるべきことを考える事に時間を費やす

課題に直面した時、2通りのタイプの人がいる、と賢者は言う。「どうすれば解決できるかを徹底的に考える人と、できない言い訳を考える人」。その後「後者は時間の無駄で、次に何をすべきかを考えることに時間を使った」と続く。高い技術力とそれを支える高邁な精神性が上質なイノベーションを叶える。

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賢者プロフィール

氏名 上田 輝久
会社名 株式会社島津製作所
出身地 山口県
出生年 1957年
こだわり 健康食品 (サプリメント含む)
趣味 雑学
特技 サッカー、水泳
休日の過ごし方 読書、ビデオ鑑賞、散歩、ゴルフの練習(理論・実技)
座右の銘 寧静致遠
尊敬できる人 ピーター・ドラッカー

賢者ヒストリー

  • 幼少期~学生時代

    生まれたのは山口県の岩国市で、父は化学のメーカーに勤めていましたが家庭はごく普通だったと思います。幼少時代は勉強もそこそこやりながら、むしろ水泳やサッカーなどのスポーツに熱中していました。大学では4年生と大学院2年間の合計3年間、液体クロマトグラフィーに関する研究をしていました。研究の中で最終的に出てくるアウトプットはクロマトグラムでした。当時はペンレコーダーに記録していたのですが、いかにピークをシャープかつ綺麗に出すか、これがある意味で快感でした。実験が上手くいかないとダラっとした線になり、上手くいくと3つ、4つ、5つと綺麗なピークが描かれます。それを見て満足感に浸っていました。新しい技術でカラムの充填剤を作って、今まで分離できないような、当時は“光学異性体”という右手と左手の関係にあるような化合物を分離するということをやっていました。これを分離できた時は、ある意味で達成感がありました。

  • 社会人時代

    大学4年生の時にデモ機を使わせてもらい、島津製作所が液体クロマトグラフをやっていることを知りました。大学時代からやっていたカラムの開発に力を入れると聞いて入社したのですが、配属された部署の実験室に行くと物置のようになっていました。最初にやった仕事は錆びた乾燥機を磨いて再生したことでした。それを見ていた当時の上司が感心してくれて「必要な物があれば買ったらいい」と言ってくださり、自分で仕事の環境を整備していきました。当初はたんぱく質の分離を行い、3年目には海外で学会発表の機会をもらえ、製品発表にも至りました。その後2年間は米カンザス大学で共同ラボのマネージャーとして新しい分析装置の共同開発を行いました。弊社で現在の主力になっているハードウェアの開発に関わるようになったことは大きな節目になりました。その後、製品が成長していく中で「こういう物が欲しい」という要望が数多く出てきました。その中には難しい課題もありましたが、それらを解決していく中で顧客は大きな評価をしてくれました。顧客の視点で様々なニーズに対応していった結果、そのような努力が事業を大きくする1つの原動力になっていったことに後になって気づきました。

  • 社長就任のきっかけ

    現会長から「社長をやってくれ」と言われたのは社長就任の4ヶ月ほど前でした。その年の年賀状には「課題が山積み」と書いてありました。確かに、我々が目指しているところと現状では様々なギャップがあったので、自分にそれらの解決ができるかという不安もありました。しかし、誰かがやらなくてはいけないことですし、期待されることをしっかりやる、あるいは期待以上のことをやっていくのに時間を使う方が賢いと考えました。かねてから思っていたことがあります。お客様の要望や課題に直面した時、2通りのタイプの人がいると思います。1つは、どうすれば解決できるかを徹底的に考えるタイプ。もう1つはできない言い訳を並べてしまうタイプ。後者は時間の無駄だと思っていました。社長就任に際しても、次に何をすべきかを絶えず徹底的に考えることに時間を使いました。

  • 社長就任当初

    私自身が一番にやるべきだと思ったのは、それまで関わってきた分析計測事業の部門、あるいは各事業部門、全社部門、さらには海外拠点、それらをできれば1年の間に回ろうということでした。今、島津製作所にはどのような人がいて、どういった仕事をしているのか、現場を理解しようとしました。それぞれの事業部が何を考えているのか知りたかったのです。課題と対策の大まかな方向性を1年目には出したいと考えました。特に各事業部門には成長戦略の見直しを進めてほしいということを伝え、それを粘り強く実行してきました。それぞれの部門と議論が深まり、部門ごとに改善の報告を考えてくれる習慣がつき始めたことが、業績にも現れ始めています。

  • 今後の目標

    当社の経営理念である「人と地球の健康への願いを実現する」ということは全世界共通の課題です。これまでは病気になったら診断・治療をするというものでしたが、本当は病気にならないような生活ができた方が良いのです。一方で、病気になりにくくなったとしても、高齢化が進む中で、認知症など新たな社会課題が出てきています。インフラにしても、日本では、戦後に作られた化学プラントや橋梁、道路などの老朽化により新たな課題が発生しています。そこではインフラの寿命評価や劣化評価など、新たな評価技術が必要となっています。これは我々が取り組むべき課題であり、今の技術をベースとしてチャレンジしていきたいと思います。社会で起こっている様々な現象に対して、我々社員全員がもっと敏感になっていく必要があります。その時に、社内にある多様な技術をうまく複合化したり、融合化したり、場合によっては社外の技術を取り込んで共同で新しいものを創造していく。これをしっかりやっていく仕組みを作ることが会社全体の課題であり、今後の成長につながる重要なポイントだと考えています。

会社概要

企業名 株式会社島津製作所
所在地 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1
業種 製造
設立 1917年
資本金 約266億円
従業員 11,094名(2016年3月31日現在)
事業内容 分析機器、計測機器、医用機器、航空機器、産業機器の製造・販売
URL http://www.shimadzu.co.jp/jindex.html

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